米国・日本との関係はどうなるか
中台関係が安定化することを前提とするなら、台湾は米国や日本とどのような関係を目指すだろうか。馬英九政権は対中融和のみならず、対中バランス政策もとってきた。その最大のパートナーは米国であり、米国が台湾を支援する最大の象徴が武器売却である。中国は米国が台湾向け武器売却を発表するたびに、軍事交流などを一方的に打ち切るなどして対抗措置を執ってきた。
しかし、馬総統が繰り返し呼びかけたにもかかわらず、老朽化したF-5Eの代替機として要求されたF-16C/D型について、米国は前向きの反応を示さなかった。中国との関係をおもんぱかって、今後米国は戦闘機の対台湾売却を控えるのであろうか。
米国が台湾に戦闘機を売らなくなったら、台湾空軍の主力戦闘機の戦力は十数年で現在の半分近くまで減ってしまう。つまり、そのことは米国が将来台湾防衛に直接責任を負うか、あるいは台湾防衛をあきらめるのとほぼ同じ意味を持つ。アジア・太平洋重視に回帰した米国が、そのような政策転換をするとは考えにくい。いずれタイミングをみて米国は台湾に主力戦闘機売却の決断をしなければならないはずである。
次は、対日関係であるが、馬英九政権は現状の基礎の上でさらに関係発展を目指すことになるであろう。馬英九総統は当初「反日」のレッテルを貼られていたが、馬英九政権は「台日特別パートナーシップ」を唱えるなど、日台関係強化に前向きであった。
これまで、台湾の国際的空間拡大を阻止するため、中国が日本に強い圧力をかけ、日本が台湾との関係に苦慮してきた。ところが中台関係が安定している現在、日台関係を強化しても、台湾の反発を恐れて中国はそれに反対しにくくなった。こうした変化が、2010年に交流協会と亜東関係協会で実務的な協定が結ばれた背景となっている。
今後とも馬政権は、各種協定の締結など、日本との関係強化を進めようとするであろう。中台関係が安定化・強化されれば、米国や日本にとって台湾との関係強化は必要性が増す。この地域における影響力強化策は、中国の独占物ではない。しかも(米国の対台湾武器売却を除き)台湾との関係強化に対して従来加えられてきた中国からの圧力は確実に低下している。日米のみならず、多くの国にとって台湾との関係強化のチャンスは拡大していくであろう。
Thursday, April 05, 2012
台湾の馬英九総統再選 | nippon.com
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